芝浦工業大学大学院 電気電子情報工学専攻 2025年3月卒業
低雑音環境におけるミンミンゼミの鳴き声の統計分析に関する研究

御園玲央

 

夏に交通騒音を測定する際、セミの鳴き声は録音に影響を与える要因の一つとなります。そこで、セミの鳴き声が騒音測定に及ぼす影響を明らかにするために必要な正確なセミの鳴き声を測定しました。そして、セミ1匹当たりの鳴き声の騒音レベルと周波数特性について統計分析を行いました。本研究の成果は、交通騒音測定に含まれるセミの鳴き声の除去などの応用が期待されます。

 


 

セミの鳴き声の正確な音響的特徴の分析

 

従来のセミの鳴き声に関する研究は屋外測定によるものだったため、収録されたデータには暗騒音が含まれていました。そこで、本研究では外部の雑音や反射音の影響なく測定するために防音箱内に自由音場環境を構築して、多数のセミの鳴き声の音響特性を測定しました。73匹のミンミンゼミの鳴き声を対象に、騒音レベルと音節ごとの周波数特性を詳細に分析しました。その結果、ミンミンゼミの主鳴音の騒音レベルの平均値は、ミンミンゼミから距離1 mの地点で84.6 dBであることが明らかになりました。また、卓越周波数は「ミ」と聞こえる部分で4.7 kHz、「ン」と聞こえる部分で15 kHzでした。


 

感想

 

セミの鳴き声の分析を通じて、計測工学や信号処理に関する知識を深めるとともに、研究の進め方を学びました。特に、研究成果を論文や国際会議・研究発表会で発表することに積極的に挑戦して、論理的思考力やコミュニケーション能力を磨くことができました。学会では多くの研究者と意見を交わす中で新たな視点を得ることができ、自身の研究をさらに発展させる大きな原動力となりました。また、学会を通じて国内外のさまざまな土地を訪れ、その地域の文化や雰囲気に触れることができたことも、貴重な経験となりました。

 

卒研の紹介
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